【CPRT】コパートは暴落の今が仕込み時か?全損車の覇権を握る無借金王者を徹底査定

CPRT(コパート)の能力査定カード。6軸評価で弾道A81、ミートA84、パワーB73、走力C62、肩力A86、守備力A87、総合評価B(78.8点)。

株価は52週高値から約-53%

それでも営業利益率37%、ROIC30%超、実質無借金。

「全損車オークションの覇権企業」が、なぜ今これほど叩き売られているのか——。

この記事では、米サルベージオークションの絶対王者 コパート(CPRT) を、6軸の独自査定で丸裸にします。割安に見える今こそ仕込み時なのか、それとも落ちるナイフなのか。結論まで一気にいきましょう。


目次

この記事の要約

  • コパートは米サルベージオークションをIAAと二分する覇権企業。財務は無借金・高マージンで鉄壁。
  • 成長が+2%台に鈍化し市場の期待が剥落、株価はレンジ最底辺へ。だが構造的な堀は無傷。
  • 査定総合はB 78.8。采配は「先発起用」——割安に振れた今、新規で迎え入れる妙味あり。

この記事を読むべき人

  • 暴落した優良株を「安く拾いたい」と考えている人
  • AIや半導体以外の、地味だが構造的に強い銘柄を探している人
  • 高マージン・無借金・高ROICの「質」を重視する中長期投資家
  • 「コパートって割安なの?罠なの?」を一発で知りたい人

銘柄概要:全損車を世界中に売りさばく「見えないインフラ」

コパート(NASDAQ: CPRT) は1982年創業、テキサス州ダラス本社のオンライン自動車オークション企業です。事故車・全損車を、独自プラットフォーム「VB3」を通じて世界75万人超のバイヤーに販売しています。

ビジネスの主役は保険会社。事故で全損になった車は、保険会社にとって「処分すべき在庫」です。コパートはこれを引き取り、オンライン入札で世界中に売りさばき、その手数料で稼ぎます。売上の約80%がこのサービス手数料収益で、残り20%が直接仕入れた車両の転売です。

ポジションは盤石です。米国のサルベージオークション市場ではシェア約40〜50%。同業のIAA(RB Global傘下)と合わせて市場の約80%を握る、実質的なデュオポリー(複占)を形成しています。

しかも単なるアプリ会社ではありません。全米に250以上の自社保有ヤード(用地)を抱える「物理×デジタル」のハイブリッド。事故車を保管・査定・物流まで一貫処理する、業界の「見えないインフラ」と言える存在です。

主力サービスは多彩で、360度車両表示の「Copart 360」、AIで出品戦略を最適化する「IntelliSeller」、年間100万件超の権利書を処理し保険会社の業務に深く食い込む「Title Express」などを展開しています。


某野球ゲーム風 銘柄査定

事故車の王者を、6つの軸で査定していきます。

① 弾道(市場スケール・テーマ性):A 81

戦場は決して巨大ではないが、追い風は構造的です。オンラインサルベージ市場のTAMは2026年の$12.8B → 2030年に$25.7B、CAGRは+19%の高成長。さらにEV普及で修理費が高騰し、「修理より全損」と判断される全損率(TLF)が過去最高22.2%まで上昇。この secular な追い風がコパートの母数を押し上げ続けます。1兆ドル級のAI市場のような派手さはないが、テーマの確度は高い。

② ミート(収益の安定性・再現性):A 84

ここが隠れた強みです。売上の四半期ブレ幅は平均比±4.5%と極小。事故車は好況でも不況でも発生し、売上の80%は保険会社との長期取引。β値はわずか0.28で景気に揺れません。Title Express導入後の保険会社の離脱は実績ゼロ。配当こそ無配ですが、業績の再現性は屈指の安定感です。

③ パワー(業績の爆発力・利益創出力):B 73

利益の「質」は怪物級。営業利益率37.5%、ROIC30%超、FCFマージン29%。ただし肝心の売上成長が+2.1%まで失速し、Rule of 40は38.7とギリギリ届かず。打てば飛ぶ打球は持っているのに、ここ最近は快音が出ていない——絶対値の高さと成長鈍化が同居する、評価の難しいゾーンです。

④ 走力(成長スピード・モメンタム):C 62

足は完全に止まっています。直近4四半期のYoYは+5.2%→+0.7%→-3.6%→+2.1%とガタつき、米国保険ユニット販売数は-2.7%(米国-4.2%)と減少。明るい材料は海外売上+14.1%の急伸くらい。今のコパートに短期モメンタムを期待するのは禁物です。

⑤ 肩力(参入障壁・市場支配力):A 86

堀の深さは本物。250以上の自社ヤードは、環境規制(NIMBY)で新規取得が極めて困難——競合が物理網を真似るには10年以上かかります。そこに75万人のグローバルバイヤー網が乗り、出品の1/3超を国際バイヤーが落札する高い価格発見力を実現。米国保険ASPは8四半期連続でYoY上昇と、価格決定力も健在です。唯一、RB Globalの値引き攻勢でシェアが一部漏れているのが減点要因。

⑥ 守備力(下落耐性・財務健全性):A 87

ここは文句なしのS級手前。ネットキャッシュ+$3.26B、有利子負債$93Mの実質無借金、D/Eは0.0091。FCFマージン29%、β0.28。さらにPERは18.6xと過去3年レンジ(28〜37x)の下端を大きく割り込み、バリュエーション面の下値余地も限定的。財務に死角はありません。


総合査定:B 78.8

査定軸グレード点数
弾道(市場スケール)A81
ミート(安定性)A84
パワー(爆発力)B73
走力(モメンタム)C62
肩力(参入障壁)A86
守備力(財務)A87
総合B78.8

守備とミートで鉄壁、肩力で堀の深さを誇る一方、走力(モメンタム)が完全に足を引っ張る——典型的な「今は嵐の中の安定型」です。


特殊能力(青・赤 混在)

汎用能力ではなく、今のコパート固有の姿を映す5つを選びました。

  • 安定感⚪︎ … ネットキャッシュ$3.26B・実質無借金・β0.28。どんな下落相場でも崩れない財務の壁。
  • 精密機械 … 米国保険ASPが8四半期連続でYoY上昇。ボリューム減でも単価を狙い澄まして引き上げる価格決定力。
  • 牽制○ … 250超の自社ヤード+環境規制のNIMBY効果。競合をベースに釘付けにし、物理拡張を許さない。
  • スロースターター … 成長は+2%台に失速。割安でも、高倍率への再評価が動き出すまで時間がかかる立ち上がりの遅さ。
  • クイック× … Progressive等の一部保険大手がIAAへ流出。気を抜くとRB Globalにフリーで塁を進められるシェア漏れの兆候。

直近決算サマリー(Q3 FY2026/2026年5月21日発表)

指標実績コンセンサス着地
売上$1.237B$1.195B+3.3%上振れ
EPS(希薄化後)$0.43$0.41+4.9%上振れ
営業利益率37.5%+70bps YoY
粗利率46.3%+70bps YoY
FCF$503M

ガイダンス:Q4は売上$1.136B・EPS$0.38とやや保守的(通期は非開示が方針)。

市場反応とポイント:売上・EPSとも上振れ着地。米国保険ASPが+4.1% YoYで季節調整後の過去最高を更新し、海外売上も+14.1%と好調。一方でグローバル保険ユニット販売数は-2.7%と減少が続き、「単価で稼ぎ、台数で削られる」構図が鮮明に。期末現金$3.35B、年初来$1.6B超の自社株買いを実施。

一言:中身は悪くない。問題は「成長が戻る絵」が市場に見えていないこと。


成長ストーリー

強気シナリオ

① 全損率(TLF)の構造的上昇が母数を押し上げる
EV普及とパーツ・人件費の高騰で、修理を諦めて「全損扱い」にする車が増え続けています。FY2025通年のTLFは22.2%で過去最高、直近Q4は23.8%。コパートの取扱台数の母数そのものが、年々かさ上げされる構造です。保険加入率低下という逆風を、この secular トレンドが時間をかけて打ち消していきます。

② 単価(ASP)上昇でボリューム減を吸収する
米国保険ASPは季節調整後で過去最高を更新中。中古車価格の高騰が車両価値を押し上げ、1台あたりの手数料が膨らみます。台数が多少減っても売上が崩れにくい——この「価格で殴る」モデルが回り続ける限り、利益の地力は保たれます。

③ 国際事業の急成長+歴史的割安の合わせ技
海外売上は+14.1% YoY、ドイツ・カナダが牽引役に育ちつつあります。米国オークション出品の1/3超を国際バイヤーが落札する構造は、次の成長エンジン。そこにPER18.6x(過去3年で最低水準)が重なれば、成長再加速とバリュエーション回帰の「二段ロケット」が点火する可能性があります。

弱気シナリオ

① デュオポリー崩壊の連鎖
RB Globalが潤沢な財務を武器にIAAで値引き攻勢を仕掛け、Progressiveなど保険大手の一部がIAAへ移行しました。これが1社で止まらず複数に波及すれば、コパートの牙城が崩れます。2025年の株価-32%下落の最大の引き金がこれでした。

② 保険チャネルの構造的失速
自動車保険料の高騰で、無保険・低保険のドライバーが増加。売上の80%を占める保険チャネルのボリュームが低空飛行を続ければ、成長率は1桁前半〜マイナスに沈み、「低成長割安株」のまま放置されるリスクがあります。

③ DOJ調査の顕在化
米司法省(DOJ)によるマネーロンダリング調査が2023年から継続中。仮に国際バイヤー(入札の1/3超)への制限や多額の制裁金が科されれば、価格発見力と収益力の両方に深い傷が残ります。


強み:真似できない「物理×デジタル」の二重の堀

コパート最大の優位性は、スイッチングコストの高さです。Title Expressで保険会社の権利書処理・物流・査定に深く食い込み、導入後の乗り換え事例はゼロ。内製化するより、コパートに任せた方が安くて手間がかからないため、離れる合理性がありません。

そこに参入障壁が重なります。250超の自社ヤードは、環境規制(NIMBY)で新規取得が至難。新興企業が「アプリだけ」で参入しても、車を保管・物流する物理拠点が作れません。

さらに75万人超のバイヤー網が生むネットワーク効果。買い手が多いほど高く売れ、高く売れるから出品者(保険会社)が集まる好循環。市場環境としても、全損率の secular 上昇という追い風が吹き続けます。営業利益率37%はRB Global比でなんと+18ポイント——業界内で圧倒的な収益力です。


リスク

① 競争激化によるシェア流出(最重要)
RB GlobalがIAAを統合し、価格競争を本格化。デュオポリーの一角が値引きで攻めてくる構図は、長年「価格を上げ続けられた」コパートにとって新しいタイプの脅威です。大手保険会社の離反が連鎖すれば、高マージンの前提が揺らぎます。

② 保険加入率の低下
保険料高騰で無保険ドライバーが増えるほど、コパートの主戦場である保険チャネルの取扱台数が細ります。全損率上昇でカバーできる範囲を超えれば、成長は構造的に頭打ちになります。

③ DOJ調査という不確実性
マネーロンダリング調査は現時点でビジネスへの直接影響は出ていないものの、結論は不透明。最悪シナリオでは国際バイヤーの排除や制裁金が、収益の根幹を直撃します。

筆者見解:3つのリスクはいずれも「成長の鈍化」要因ではあるものの、「企業の存続」を脅かすものではありません。無借金・高FCFの財務が、嵐をやり過ごす時間的余裕を十分に与えています。怖いのは業績崩壊ではなく、「割安なまま市場に忘れられる」時間軸の長期化です。


采配判定

判定:先発起用

ローテーションに組み込みたい有望株、という評価です。理由は4点。第一に、財務(守備力A87)と安定性(ミートA84)が鉄壁で、最悪期でも崩れない下値の堅さがあること。第二に、肩力A86が示すように、覇権を支える物理×デジタルの堀が今回の下落でも一切傷ついていないこと。第三に、PER18.6xは過去3年レンジ(28〜37x)の下端を大きく割り込み、ROIC30%超の優良企業としては明確な割安水準にあること。第四に、全損率上昇という secular な追い風が、いずれボリューム回復として効いてくる蓋然性が高いこと。

短期のモメンタム(走力C62)は依然として弱く、再評価には時間がかかります。だからこそ「一括で全力」ではなく、嵐の最中に少しずつ拾っていく分割エントリー向きの先発。マウンドに上げて、長いイニングを任せたい一枚です。

本セクションの采配判定は筆者の査定上の見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。


免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。記載の数値・分析は執筆時点の公開情報に基づくものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

某野球ゲーム風の6軸査定で銘柄の実力を可視化する投資メディアのスカウト。
弾道・ミート・パワー・走力・肩力・守備力でスコア化し、テンバガー候補を発掘中。

目次