KOA【6999】の株価は今後どうなる?AI・EVで復権する抵抗器 世界首位級を某野球ゲーム風に徹底査定

KOA(KOA株式会社)の能力査定カード。6軸評価で弾道B74、ミートE47、パワーD56、走力B77、肩力B72、守備力D58、総合評価C(64.0点)。
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この記事の要約

  • KOA【6999】は固定抵抗器で世界シェア約13%の”地味だけど無くてはならない”部品メーカー。AIデータセンターとEVという2大テーマの追い風で、業績はどん底からV字回復中
  • 査定は総合点C 64.0。利益のブレが激しい典型的シクリカル銘柄だが、4四半期連続の上方修正と受注残+30%という「勢い」は本物
  • 采配判定は先発起用。サイクル中盤の今こそ、ローテーションに組み込む妙味がある局面と査定

この記事を読むべき人

  • AI・データセンター関連の「本命の裏に隠れた脇役銘柄」を探している人
  • EVシフトの恩恵を受ける日本の部品株に興味がある人
  • 株価が底値から4倍になった銘柄に今から乗っていいのか迷っている人
  • シクリカル株(景気敏感株)との付き合い方を学びたい人
  • 派手なグロース株より「実需で稼ぐ製造業」が好きな人

KOA株式会社とは?銘柄概要

事業内容

KOAは長野県に本社を置く、電子回路部品の専業メーカーです。

主力はチップ抵抗器。売上の約92%を占めます。

抵抗器とは、電子回路の中で電流をコントロールする部品のこと。スマホにも、クルマにも、AIサーバーにも、必ず大量に入っています。

いわば「電子機器の血圧調整弁」。地味ですが、これが無いと何も動きません。

主力製品と強み

  • チップ抵抗器(売上の約92%)
  • 車載安全システム向け抵抗器(グローバルシェア15%)
  • 大電流シャント抵抗器・高耐圧品(EV・AIサーバー向けの注力領域)

用途別では自動車向けが50%、産業機器12%、AI・データセンターを含む通信が9%。クルマの電動化とAIサーバー増設が、そのまま追い風になる構造です。

市場でのポジション

固定抵抗器の世界シェアは約13%(同社推計)で世界首位級

首位の台湾Yageo(シェア30%超)には規模で劣るものの、KOAの土俵は「過酷環境向けの高信頼性品」。硫黄耐性や高温多湿対応など、車載・産業機器で求められる特殊設計に80年以上のノウハウを持ちます。

売上の約7割は海外(アジア34%・欧州19%・米国16%)。生産は国内比率7割超で、現在は中国とマレーシアに新工場を建設中です。

某野球ゲーム風 銘柄査定

それでは恒例の6軸査定です。採点はいつも通りシビアにいきます。

① 弾道(市場スケール・テーマ性):B 74

抵抗器市場全体のTAMは111億ドル、CAGRは5%と正直地味。

ただしKOAが戦うチップ抵抗器市場はCAGR 8%と一段速く、EV1台あたりの抵抗器使用数は従来車の2倍超。AIサーバー向けも急増中で、テーマ性は十分。

市場そのものが爆発するわけではないが、構造的追い風は本物。

② ミート(収益の安定性・再現性):E 47

ここがKOA最大の弱点。

EPSは74.7円→7.0円→106.4円と、まるでジェットコースター。営業利益も在庫調整局面で▲64〜▲91%と大幅減を経験しています。

配当も40円→32円と減配の過去あり(1株30円を下限に方針化はプラス)。

リカーリング収益はゼロ。景気が悪くなると素直に業績が沈む体質は、躊躇なくE評価です。

③ パワー(業績の爆発力・利益創出力):D 56

FY2026は売上+12.7%、EPS+1,416%と一見派手。

しかしこれは「どん底からの回復」であり、絶対値を見ると営業利益率5.0%、ROE 4.7%と物足りない水準。

ピーク時(FY2023)の営業利益率13.6%まで戻せるかが勝負ですが、現時点の地力はD評価が妥当です。

④ 走力(成長スピード・モメンタム):B 77

6軸の中で最も光る軸。

  • FY2026は4四半期連続の上方修正
  • 受注残高は前年同期比+30.1%
  • AI関連の通信向け売上はQoQ+19.8%
  • 中国・マレーシアで新工場建設中

明確にモメンタムは上向き。ただしFY2027ガイダンスが営業減益スタートのため、Aは付けずBの上位に留めます。

⑤ 肩力(参入障壁・市場支配力):B 72

車載認証(AECQ200)と設計評価のロックで、車載向けは乗り換えに数年かかる中程度のスイッチングコストあり。

過酷環境向けの設計技術と80年超の材料ノウハウは確かな堀。

一方で、価格転嫁には「タイムラグ」があり価格決定力は限定的。中国勢の低価格攻勢で中低端市場のシェアを削られている点もマイナスです。

⑥ 守備力(下落耐性・財務健全性):D 58

自己資本比率58.4%は及第点。

しかしネットキャッシュは▲164億円のネットデット。設備投資集中でFCFマージンは約2%と薄く、過去3年の最大ドローダウンは▲52%

PER23.6倍は「来期営業減益予想」の中で支払う水準としてはやや重い。守りの薄さは認識しておくべきです。

総合点:C 64.0

査定軸グレード点数
弾道B74
ミートE47
パワーD56
走力B77
肩力B72
守備力D58
総合C64.0

銘柄タイプは「シクリカル」型。走力と肩力で稼ぎ、ミートと守備に穴がある。サイクルの波に乗れれば大きいが、乗り遅れると痛い、典型的な景気敏感プレイヤーです。

特殊能力

  • ムラっ気 … EPSが74円→7円→106円と乱高下。好不調の波が激しいシクリカル体質そのもの
  • 尻上がり … FY2026は期中3度の上方修正+最終着地も上振れ。試合後半になるほど良くなる投球内容
  • 重い球 … 80年の材料ノウハウ×車載認証。簡単には打ち返されない球質=参入障壁
  • スロースターター … FY2027は原材料転嫁のタイムラグで減益スタート予想。立ち上がりに難あり
  • 逆境○ … 株価727円の底値から3,000円超まで復活。追い込まれてからが強い

直近決算サマリー(2026年3月期・通期)

主要指標

指標実績
売上高722.87億円(YoY+12.7%)
対コンセンサス714億円予想を上振れ
営業利益率5.0%
EPS106.41円
経常利益+320%(4.2倍)

産業機器の在庫調整からの回復、中国中心の自動車向け、AIデータセンター向け需要が牽引。円安も追い風でした。

なお経常利益の爆増には、材料屑処分益5.3億円と補助金収入6.6億円という一過性要因が含まれる点は割り引いて見るべきです。

FY2027ガイダンス

項目予想YoY
売上高774億円+7.1%
営業利益28.3億円▲22.4%
当期純利益47.8億円+21.0%

増収なのに営業減益。犯人は貴金属価格の高騰と、価格転嫁までのタイムラグです。

市場反応

株価3,040円はアナリスト目標株価コンセンサス3,000円とほぼ一致。「良い決算は織り込み済み、次の材料待ち」という状態です。

一言コメント:4四半期連続上方修正の会社が出す「減益ガイダンス」を、どこまで額面通りに受け取るか。ここが今のKOAの最大の論点です。

成長ストーリー

強気シナリオ

シナリオ1:AIデータセンター向けが第2の柱に育つ

AIサーバーは電力を大食いするため、大電流を精密に制御する抵抗器の需要が急増しています。KOAのAI関連通信向け売上はQoQ+19.8%と急伸中。現在9%の通信向け構成比が、マレーシア・中国新工場の稼働とともに2桁後半まで伸びれば、「自動車の会社」から「自動車×AIの会社」へ評価が一変します。

シナリオ2:EVシフトで1台あたり搭載数が倍増する

EVは従来車の2倍超の抵抗器を使います。しかもKOAは車載安全システム向けでグローバルシェア15%を確保済み。クルマの販売台数が伸びなくても、電動化率が上がるだけでKOAの売上は増える。この「台数×単価×搭載数」の掛け算構造が、中計目標の売上800億円・営業利益74億円への道筋です。

シナリオ3:保守的ガイダンスの連続上方修正パターン再来

FY2026は期初ガイダンスから4回上方修正して着地しました。FY2027の営業▲22%減益予想も、貴金属価格の転嫁が想定より進めば同じパターンをなぞる可能性があります。実際、受注残は+30%と需要は強い。「減益予想→四半期ごとに上方修正→株価切り上げ」のシナリオは十分に現実的です。

弱気シナリオ

シナリオ1:貴金属高騰が想定以上に長引く

抵抗体材料には金・パラジウム等の貴金属を使います。FY2027の減益予想はこの原価上昇が主因。相場高騰が長期化し、価格転嫁が追いつかなければ、減益幅がガイダンスからさらに拡大し、PER23.6倍の正当性が崩れて株価は急落コースです。

シナリオ2:中国市場でシェアをさらに削られる

前中計の振り返りで、会社自身が「中国市場でシェア減少」を認めています。BYDやNIOが採用する中国国産部品メーカーの技術水準は年々向上中。売上の34%を占めるアジア、その中核である中国車載市場で立場が弱まれば、EVシフトの恩恵を”敵に取られる”最悪の展開もあり得ます。

シナリオ3:設備投資の固定費が回復の足を引っ張る

FY2024〜25に累計240億円超の設備投資を実施し、減価償却費は年70億円超に膨張。需要が計画を下回れば、この固定費が利益を圧迫し、ROIC改善(FY2027目標4.7%)が遅延します。シクリカル銘柄が「サイクルの谷で高い固定費を抱える」パターンは、株価にとって最も重い展開です。

KOAの強み

  • 技術の堀:硫黄耐性・高温多湿対応など過酷環境向け設計は、80年超の材料ノウハウの蓄積が必要で一朝一夕に真似できない
  • 車載認証の壁:AECQ200認証と顧客の設計評価プロセスにより、車載向けは採用されれば数年単位で置き換えられにくい
  • 市場環境:EV化とAIサーバー増設という2つの構造変化が、どちらも抵抗器の「使用数量」を押し上げる方向に働いている

リスク

リスク1:バリュエーションの逆風

株価3,040円はPBR基準の理論株価2,207円の1.38倍。過去3年のPBRレンジ(0.39〜1.27倍)の上限に張り付いた状態で、「営業減益の1年目」を迎えます。期待が先行している分、FY2027の四半期決算が1度でも失速すれば、調整は速くて深いと覚悟すべきです。

リスク2:Yageoと中国勢に挟撃される競争構造

上には規模30%超のYageo、下には低価格の中国メーカー。KOAは「高信頼性ニッチ」に逃げ込むポジション戦略ですが、中国勢の技術キャッチアップ速度は速く、ニッチの縄張りが年々狭まるリスクがあります。

リスク3:経営陣の交代とガバナンス転換期

2026年6月に会長と取締役2名が退任。ROIC経営の導入は始まったばかりで、資本効率改革が掛け声倒れに終わる可能性は残ります。ROE4.7%という現状の低さは、この改革の成否次第です。

筆者見解:3つの中で最も警戒すべきはリスク1。事業リスクは時間が解決し得ますが、バリュエーションの逆風は「今買う人」に直撃します。エントリーするなら打診買い→四半期決算確認→積み増しの分割アプローチが、この銘柄のムラっ気とは相性が良いと考えます。

采配判定

判定:先発起用

総合点はC 64.0と決して高くありません。それでも先発マウンドを任せる理由は「今がサイクルのどこか」にあります。

営業利益率はピーク13.6%に対し現在5.0%。つまりまだ回復の中盤戦であり、伸びしろが残っています。受注残+30%、4四半期連続上方修正という投球内容は、ガイダンスの減益予想が保守的である可能性を示唆しています。

AI・EVという2大テーマに実需で乗れる希少な中型株であり、PEG約0.19倍という水準は回復シナリオが続く限り正当化可能。ムラっ気持ちの投手ゆえ、球数(ポジションサイズ)管理は必須ですが、ローテーションに加える価値のある一枚と査定します。

※本セクションの采配判定は筆者の査定上の見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の公開情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。
投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。
本記事の情報を用いて生じたいかなる損害についても、運営者は一切の責任を負いません。

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この記事を書いた人

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